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REPORT


 

Sweet wedding , Sweet home

選曲・リミックスで参加した仁科亜弓の手記

2014.07.11

長文になります。私にしては珍しく、音楽に関して説明・解説をしております。

 私は音楽は受け手にゆだねて解釈を発表しない派なのですが、今回は、友人たちを巻き込んだ分、また結婚・オウチを建てるといった現実的な企画なこともあって、真摯に作品を残したいと感じました。本来は音楽にこんなに長く説明をつけるべきではないと思っています。おてすきな時間に読んでいただけたら幸いです。このコンピレーションを楽しんでいただけたら、ほんっとうに嬉しいです。

 この「Sweet wedding , Sweet home」コンピレーションアルバムは、ハウスメーカー「アサカワホーム」のCM映像作品のイメージソング集です。私は選曲を担当しつつ、自分自身の作品としてワーグナーの結婚行進曲のリミックスの提案をしました。CMの演出を担当した京谷監督から「結婚してオウチを建てるCM」と初めて聞いた時、かなり早い決断をする夫婦だなぁ、勢いがあっていいなぁ、わりとパンクな精神の持ち主なのではないか、と、とても面白く感じて、私のリミックス曲においては、思い切りの良さや、スピード感、ちょっぴりコミカルな感じを意識して作業しました。

 リミックスを作っている時に私がとても楽しくこの企画を感じた一方で、選曲の提案としては「結婚する」「家を建てる」という大きな決断を真面目に演出する方向もあると思い、夫婦の形がひとそれぞれであるように、とらえ方の違う楽曲を選びたいと思いました。CMが人生において大事な決意を感じるものだったり、幸せな空気をまとう作品になると予感したので、単に音楽をジャンル的に選曲して提案するのではなく、私の友人の音楽家たちの中で、結婚・家を建てることを経験していたり、普段の会話から新しい夫婦のカタチや暖かい家庭生活を感じる方々に楽曲の提案をしてもらうのが、この企画をよりリアルに楽しいCMとして伝えられるような気がしました。友人を巻き込む形での選曲は初めてで、少し天真爛漫にも感じるこの企画を友人たちに伝えることには、少しとまどいを感じました。だからこそなのかもしれないのですが、私が音楽が仕事になって間もないころから友人や、いくつかの転機の時そばにいてくれた友人、新しい現場で勇気づけてくれた友人に声をかけ、頼ることができたような気がします。私の音楽人生のここまでのつながりを表すような友人たちの曲を集めさせていただくことができました。出会いに、また企画に参加してくれたことに、とても感謝しています。

 CMに決まったのは高見優子さんの「Beginning」です。高見さんとは、高見さんがスーツケースローズで活動していたころのラジオ番組に出演させていただいたのが出会いのきっかけでしたが、近年疎遠になっていたところ、私に一番最初にDTMを教えてくださった方とのつながりから、高見さんに再会することができ、今回、声をかけさせていただきました。いろいろな偶然は重なるもので、選曲をしている際、洞澤さんが高見さんの友人であることがわかり「Beginning」の編曲をお願いすることができました。CMの映像が仕上がっていく中、音楽が並行していろいろな成長を重ねていく姿に立ち会えて、とてもわくわくした時間でした。

 ちょっと文章が堅い感じになってきています。たぶん、これまでの私の音楽人生と、自分にとってもリアルな「結婚」「オウチを建てる」に向き合ったからかもしれません。友人の音楽家たちが提案してくれた音、言葉のひとつひとつに、私自身の思い出や、これから出会いそうな気がする風景がリンクします。

 「結婚してオウチを建てる」という企画を私がリミックス作業で楽しんだように、あらかじめ決まっている絵の中で音楽を楽しむこと選曲することも、とても楽しい作業でした。もし、音楽家たちがそのつもりで作っていなかったとしても、企画や映像の中で、音楽があたらしい顔を見せてくれたようにも感じます。たとえば同じ曲でも「恋は難しくて実らない」だなんて思って聴くとネガティブに、「恋って楽しいよね、わくわくしちゃう」って思いながら聴くと恋をしたくなったり、とらえかたが違うと思います。「結婚してオウチも建てちゃおうよ」のイメージが、このままCMだけで終わってしまうのが、とてももったいないシチュエーションように感じて、集まった楽曲をコンピレーションアルバムとして残したいと思いました。とても時間がかかってしまいましたが、やっとリリースの準備が整いました。

 ジャケットのデザインは、高校生時代に一番音楽の話を交わした手芸作家のkazuhoちゃんにお願いしました。彼女の作品や言葉、彼女と家族と犬たちと猫たちの生活スタイルが大好きで、いつか一緒に作品を残したいと思っていました。やっと誘う機会ができてとても嬉しいです。

 今後も友人たちを誘って、新しい音楽の場所を作っていけたらいいなぁと思っています。手作り感のあるレーベルですが、まだまだこれから音楽業界も変化してゆく中、何か挑戦できる場としてゆるやかに活動したいと思っています。

 参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

 おまけですが、今回のコンピレーションに関わってくださった友人たちと私の出会いの相関図を作ってみました。今回相関図にない方々もまた何か面白いことが始まる時にお誘いしたいです。よろしくお願いします!


いつもありがとうございます。

選曲担当 仁科亜弓(Btype Qualia,waxflower records)



(敬称略)

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